勝つと思うな、思えば…

ところで、WBC、決勝の7回裏の、あの異様な雰囲気はなんだったんだろーねー、と
ひとくさり一緒に観戦した家人と語り合ったわけで。
日本は3点リードしていて、あと最短9つのアウトで優勝という状況。
普通のペナントレースならまあ余裕とは言わないまでも、
いわゆる勝ちゲーム、ピッチャーも落ち着いて投げればオッケーの状況。
最初の打者が平凡な内野ゴロで、よっしゃと思った瞬間の、
川崎選手のエラー。おいおいと思ううちに2こ3ことエラーが続き、
見ている私たちもおもわず絶句していました。
まだ3点もリードしているのに、「負」の文字がいつのまにか頭に浮かんだのです。
いかんいかんと頭を振っているうちに、最初にエラーした川崎が
ゲッツーを呼び込み、なんとかチェンジに。
すごく悪い夢を一瞬見たような感じでした。

大相撲3月場所、白鵬は横綱朝青龍を抑えて唯一人、全勝を守っていました。
ところが昨日の取り組みで3度も仕切りなおしになるほど落ち着きがなく、
結局あっさり負けてしまい、朝青龍に並ばれてしまいました。

野球と相撲、種目は違えど、なんかこの2つの出来事に同じような印象を持った私です。

7回表の攻撃が終わるまでは、日本は押せ押せムードでとにかく点を取ることに集中し、驀進していたのですが、もうあと3回守りきれば世界一とい事実に、7回裏ふと気がついてしまった。選手それぞれがふと「勝ち」を意識してしまった。
それが無言のエネルギーになって見えない暗雲のように垂れ込めた。その結果浮き足立ち、なんでもないような守備でエラーを重ねてしまった。あとで思い返せばそんな風に思いますが、生で見ていたその時のなんともいえない妙な雰囲気がとても印象深い。逆に1点差まで追い詰められてからのほうが奮起して、いいプレイを重ねられているように見えました。
白鵬にしても、昨日の取り組み前に、やばい、おれだけじゃん全勝…と優勝の現実味を実感してしまったのでしょうか。それは想像に過ぎないですが、昨日の取り組みの負け方は心理的な何かが作用しているとしか思えないものでした。
いよいよ勝つぞ、終わるぞ、という時に、なぜ人間はプレッシャーを感じてしまうのでしょうか。不思議です。

勝つと思うな思えば負けよ、とは歌の文句ですが、ほんとよく言ったものだ、と
ひとりごちた春でした。

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